カンパニュラのお話

 カンパニュラの花言葉



「鋭敏・繊細な感じ・感じやすい心」



他にも素敵な花言葉がありました。

感謝

誠実

思いを告げる

貞節

誠実



カンパニュラの和名は「風鈴草」





『金の林檎』


 金の林檎は、オリンポスにある果樹園で栽培されています。
半分食べればどんな病でも治り、
一個食べれば不老不死になれると言う不思議な果物です。

神々は病で苦しんでいる人達を、
金の林檎で助けてあげたりしていました。
しかし一方で、この果物を狙って果樹園に忍び込もうとする輩が数多くいたため、
神々は果樹園に百の目を持ったドラゴンを見張り役に置く事にしました。
ドラゴンはその話を受け入れましたが、
一つだけ条件が欲しいと神々に言いました。

「私の他に、もう一人見張り役をつけて欲しい」

 これがドラゴンの条件でした。
ドラゴンもたまには息抜きをしたいと思っていたので、
もう一人いれば仮に自分がいなくても大丈夫だと思ったのです。
神々はその条件を受け入れました。

 神々はドラゴンのパートナーとして、
一人の人間の少女を見つけてきました。
名前はカンパニュラ、
父親が植物に関する仕事をしていたので、
彼女も植物の知識には長けていました。
また、正義感の強い性格を持っていたため、
神々は彼女ならドラゴンのよきパートナーになると考えたのでした。

 ドラゴンはパートナーとなったカンパニュラに、
小さな鈴をあげました。この鈴を鳴らせば、
どんなに離れていてもドラゴンがやって来るので、
何かあっても絶対大丈夫だからです。

 ある日の事、ドラゴンが出かけている時、
カンパニュラの後ろから泥棒が入って来ました。
泥棒の目的はもちろん、金の林檎です。
金の林檎を盗んで、売り払って億万長者になろうと考えていたのでした。
カンパニュラは背中を向けていたので、
泥棒が入って来た事には気付きませんでした。
泥棒が林檎の樹に近づいて、実を取ろうとした時にカンパニュラが振り返り、
彼女は泥棒がいる事に気付いて

「泥棒!! 泥棒がいるわ!!」

 と、ドラゴンからもらった鈴を鳴らそうとしました。
泥棒は鈴によってドラゴンがやって来る事、
そしてやって来たドラゴンによって自分が殺される事を知っていました。
そして泥棒は殺されたくないばっかりに、
自分が持っていたナイフでカンパニュラの背中を一突きにしたのです。
カンパニュラは目を見開き、その場に倒れました。
泥棒は自分のしてしまった事の恐ろしさで、果樹園の中から逃げ出してしまいました。

ドラゴンが帰って来ると、
林檎の樹のそばでカンパニュラが倒れていました。
ドラゴンは驚き悲しみ、神々に向かって、

「誰かこの子を助けてくれ! カンパニュラを死なせないでくれ!!」

 と叫びました。その叫び声に神々が駆けつけ、
彼女に林檎を食べさせて元気にしようとしましたが、
その前にカンパニュラは若い命を落としていました。

「この子はたった一人で、林檎の樹を守ろうとしたのに・・・」
 
誰もがカンパニュラの死を悲しむ中で、
花の神がカンパニュラの努力を称えて、彼女を花にしました。
それが風鈴草、またの名をカンパニュラと言います。





アフロディテの鏡』


 アフロディテの持っている鏡は、
映る者を実際よりも美しく見せる不思議な力を持っていました。
ある日、アフロディテは草原に行って、帰る時に鏡を忘れてしまいました。
その鏡は羊飼いの少年に拾われ、
鏡に映る美しい姿を見て、少年は幸せな気持ちになりました。

 一方、アフロディテの息子キューピッドは、
アフロディテの命令で鏡を探していました。
彼が草原にやって来ると、羊飼いの少年が鏡に魅入っているのが見えました。
キューピッドは少年の側にやって来るなり、

「これは僕の母さんである、アフロディテの鏡なんだ。悪いけど返してもらうよ」

 と言って、少年から鏡を取り上げて帰って行ってしまいました。
少年は悲しい気持ちになって、そのまま家に帰る他ありませんでした。
少年が鏡を見つけた場所からは、
鏡の形に良く似た風鈴草がたくさん咲き出したとの事です。


 



「鋭敏」
一番目の話に出て来たカンパニュラに当てはめる事ができる言葉だと思います。
カンパニュラは金の林檎の見張り役と言う、とても重大な役目を果たしていました。
金の林檎の価値は純金以上ですから、見張りにはそれなりの神経が必要です。
その中でも一番重要なのは、
周囲の異変に鋭敏に反応できる勘のようなものだと思います。
言うまでもない事かもしれませんが、
カンパニュラはそのような能力が割と高かったと思います。

そうでなかったら、金の林檎の見張りなんかできるはずがありません。



 「繊細な感じ・感じやすい心」
二つ目の話に出てくる羊飼いの少年の性質の事を指しているんじゃないかと思います。
少年は鏡に映った姿に魅入っていました。
これは鏡自体に力があるので、
少年は鏡に映った姿に魅入ってしまうほどの繊細な心を持っていたのだと思います。
ひょっとしたら、風鈴草を草原で見つけて、また魅入っているかもしれません。

 また、彼は鏡を取り上げられてしまった事にとてもショックを受けていました。
鏡を取り上げられてしまって、彼は何日も悲しんでいたと思います。